まるでノコギリの刃のように稜線がギザギザなあそこ。
そう富津市と鋸南町の境にある鋸山(のこぎりやま)です。
まずは車で保田駅方面の登山口近くにある駐車場までアクセス、そして徒歩。
ロープウェイを使わず表参道ルートで大仏様と山頂を目指します。所要時間は片道1時間半。
私が利用したコース案内やトイレ・売店などのポイント、見所や楽しみ方などを紹介したいと思います。
アクセス
【電車】
・内房線「浜金谷駅」 or「保田駅」どちらでもアクセス可能ですが登山コースによって変わります。
※「車力道コース」「関東ふれあいの道コース」「石の階段道コース」「ロープウェイ利用」の場合は「浜金谷駅」下車
※「表参道コース」から登る場合には「保田駅」下車
【フェリー】
東京湾フェリー(35分)
・久里浜→金谷 ※金谷駅方面からのコース
【車】
・富津金谷ICもしくは鋸南保田ICが近いです。
ルートの紹介
今回私が利用したのは日本寺東口から入る「表参道」ルート。
まずは車で海沿いの登山口(鋸山保田口[バス停])まで行き、そこから徒歩で登りピストン(往復)して帰ってくるコースです。歩行距離も割と長めで、登った満足度はあります。
鋸山には複数ルートがあるので、時間や体力、見たい場所に合わせてコースを選ぶことをお勧めします。
登山ルートは大きく分けて2つ。
保田駅方面からアクセスするか、金谷駅方面からアクセスするか。
通称「ラピュタの壁」と呼ばれる切り立った壁が見れることもあり、金谷駅方面から登る人が圧倒的に多いようです。
上記2方面からのルートを細かく説明すると、
保田駅方面からは徒歩(1コース)か、大仏間近まで行ける無料駐車場へ車でアクセス。
金谷駅方面からは徒歩(3コース)か、ロープウェイ駅まで車(有料道路利用)でアクセス。
駐車場(有料・無料)は駅・港付近に多くあります。
登山口間近には少ないので事前に調べてからの方が安心です。
登山ルートやコース紹介、駐車場など周辺情報はこちらのサイトに詳しく載っていましたのでご参考に↓
海岸から徒歩で山頂を目指す!
人が少ない、ゆったり森林浴を楽しめるルート
本日はこちらからアクセスします。
元名海岸付近からスタートです。
観光名所ということもあり、看板がたくさん立っているので安心。
矢印の方へ進みます。
100mほど進むと分岐に差し掛かりました。
看板には登山口は左、車は右と書いてあります。
私たちは左の小道を進みます。
ちなみに車で無料駐車場を目指す方は右です。
後になって知りましたが、無料駐車場から大仏まで徒歩3分です!とっても楽チン。
しばらく進むとせせらぎが聞こえてきました。
右手をのぞくと小さな小川が流れていました。サワガニなんかが居そうな綺麗な流れです。
綺麗に整備された石畳の道が続きます。
春先ということもありところどころに季節の花が見受けられます。
巨大な蘇鉄(そてつ)の木が現れました。
この蘇鉄たいそう歴史のあるものらしく、石橋山の戦いに敗れた源頼朝が房州に逃れ再起を図った折に日本寺で武運を祈願し、自ら蘇鉄を手植えしたものと言い伝えられているそうです。
石橋山の戦いが1180年ですから840年もの大樹、ご立派!
また、大蘇鉄の後ろにも何やら大きな石碑が。
こちらには夏目漱石と正岡子規の名が刻まれていました。
鋸山には多くの文人が訪れていますが漱石や子規もその一人でした。
当時房総の周遊記を描いた「木屑録」を著した漱石はそれを友人の子規に送ったそうです。これに感動した子規は翌年に漱石とは逆ルートで鋸山を訪れ、この旅を「かくれみの」で著したそうです
この石碑は二人の友情の証として作られたもののようですね。
さて、蘇鉄ゾーンを後にして数分、階段を登りきったところにお目当の大仏さまがいきなり姿を現しました。おお、大きい!
ここまで大体30分くらいです。
「地獄のぞき」「百尺観音」に行く場合は、更にここから階段を登って30分。
大仏から上の階段は傾斜がきつくなるため少々ハードですよ。
「シダじゃんけん」を楽しみながらゆったり登る
階段が多くちょっと疲れてきました。
自然と口数も減り黙々と上を目指すようになり始めたら、コレ。
「シダじゃんけん」をお勧めします。
簡単にルールを説明すると、こんな感じ。
- じゃんけんをする。
- 勝ったほうがシダを指定。
- 負けたほうがシダをめくる。
- シダ裏面に胞子があったら残念。
このシダをめくるべし!
せいっ!
No胞子ということで、セーフ…。
せいっ!
胞子びっしり!「うへぇ、気持ち悪ぃ…。」
【見所①】日本寺の大仏
日本寺御本尊の薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)です。東方浄瑠璃の教主で、「瑠璃光を以て衆生の病苦を救い、病苦を救う」と伝えられる医薬の仏様。そのため左手には大きな薬壷を持っています。
世界平和、万世大平を祈願し天明三年(1783年)に大野甚五郎英令らにより3年をかけ岩山を彫刻して造られた薬師瑠璃光如来。風化による崩壊などもありましたが、昭和44年に大仏の復元が完成したそうです。
厄落とし絵馬(売店)
大仏さま前は広場のようになっており、休憩所や売店、トイレなどもありました。
自動販売機で飲み物は購入できますが、食べ物は確認していません。登山中にお昼を取りたい場合、お弁当は持参した方が良さそうです。
また、売店にはおみくじやお守りなどもあります。
今年は何かと不調不運が続く年だったので、ここで厄落としをと思い「厄落とし絵馬」なるものを購入してみました。
購入後、備えつけの油性ペンで氏名・年齢・願い事を記入したら、「厄」の字を落として厄落とし。
気持ちを込めて落とします。せい!ポロっ。
絵馬は下にある大黒堂に奉納できます。
インド・ブッダガヤから来た菩提樹と獅子柱頭
境内でサリーを着たインド人風の方と何度かすれ違いました。
ここ日本寺はインドとの交流もある実はすごいお寺。
お釈迦さまが悟りを開いたとされるのが、インドの聖地ブッダガヤの菩提樹の下。現在はマハーボディ寺院として多くの仏教僧が国内外から修行にやってきます。私も過去に赤やオレンジ色の袈裟に身を包んだ各国の僧に紛れ一緒にお祈りさせてもらった記憶があります。その際に目にした境内の大きな木がその菩提樹でした。そして平成元年にインド政府のはからいでその苗木を世界で初めて海外植樹されたのがここ日本寺なのだそうです。
ちなみに、この獅子が背合わせで並ぶ柱は「獅子柱頭」と呼ばれるアショーカ王時代の石柱デザイン。今はインドの国章となっていて、建国の父ガンディとともに貨幣や紙幣なんかにも頻繁に登場するデザイン。まさにインドを象徴する大変貴重な柱なわけです。こちらも苗木植樹記念法要の際にインドから送られたものだそうです。
そんな日本とインドの関係性を示す結構貴重なモニュメントなんですけど、売店横の木陰にちょこんと配されているため、気がつかずにスルーしてしまいそう。
さらに残念なことに、現在は寄贈された菩提樹は書院の方に移されてしまっているようで、姿を見ることはできませんでした。
ベンチやテーブルもある広場
お弁当を持参しているなら大仏前の広場が昼食はおすすめ。
端の方には芝ゾーンがあるのでレジャーシートを敷いても良いし、テーブルベンチもあるのでそちらを利用しても良し。大仏入り口付近にあるテーブルは屋根付きです。大仏広場奥にあるテーブルは藤棚なので桜の終わった初夏などは満開で気持ちよさそう。
この日のお昼は「としまや弁当」のチャーシュー弁当でした。
よく味の染み込んだチャーシューが堪らない。
たくさん歩いたから瞬殺でした。
ちなみに、鋸山周辺はトンビがたくさん飛んでいるので、お弁当をさらわれないようにご注意を。
【見所②】地獄のぞき&パノラマビュー
鋸山といったらコレですよね。
元々は採石場だった鋸山。その名残が名所として存在しているのがここ「地獄のぞき」。
突き出した岩壁の先端まで進むことができ、まるで地獄を覗き見るような恐怖体験が味わえる鋸山随一の名所です。
私も妻も高いところはそれほど得意ではないので、「地獄のぞき」している人をのぞき見して楽しむことにします。ひぃ、見ているだけでお玉が竦みます。
【見所③】百尺観音
先ほどの「地獄のぞき」の下にあるのが「百尺観音」。
かつての石切場跡に6年間の歳月をかけて彫刻した大きな観音様。
航海、航空、陸上交通の安全を守る本尊として崇めらています。
「百尺観音」に続く岩山を切り開いた道。
岩肌を触るとゴツゴツとした削り跡が残り、採石当時の雰囲気を味わうことができます。
かつての人造物と自然が織りなす無常な空間。個人的にはこの道が一番好きでした。
ちなみに金谷駅方面からのコースを通ると採石跡の岸壁がたくさん見られるそうです。巷でラピュタの壁と呼ばれる壮大な採掘跡も見れるみたいなので、次回は金谷側からアクセスしてもいいですね。
まとめ
鋸山は低山なうえ、ロープウェーや駐車場、コースも整っているので子供からお年寄りまで幅広い年齢層の方を見かけました。
今回私たちが利用した保田方面からの徒歩でのアクセスでも片道1時間半くらいでした。
通常の山登山とは違い階段が多いため、登山靴などの専門的な装備がなくても移動が可能な反面、階段幅に合わせて自分の歩幅で登れないので個人的には総距離以上に疲労した感じはありました。
とはいえ、コースも選べ短時間で日帰り登山できる場所としてはかなり好印象。
運動嫌いの妻を登山に連れ出す入り口としては良いコースだったかと思います。
これから登山を楽しみたい入門者にも鋸山はオススメです。