土が丸出しになった更地の庭に芝を敷くことにしました。
露出したグラウンドは降雨や雨水の流れで浸食され、どんどんと土が流出してしまいます。
そこで庭に芝を張ることでグラウンドへのダメージを抑えようという訳です。
一般的にはホームセンターなどで販売されているロールやシート状の「芝生マット」を敷くのが普通ですが、広範囲に好みの芝を張りたいと思いまして…。そこで芝の種を購入し種蒔きすることにしたのです。
数ある品種の中から私が選んだのは、タキイ種苗のバミューダグラス「サバンナ2」。
サッカーグラウンドにも使われる、夏に葉を茂らせる暖地型の西洋芝です。
それでは早速、播種から発芽、育苗のようすを振り返ってみます。
「日本芝」と「西洋芝」。じつは品種がたくさん!
日本芝は暑さに強く、西洋芝は寒さに強い。という各々違った特徴があります。
そのため日本芝は別名「夏芝」、西洋芝は「冬芝」とも呼ばれています。
それぞれの品種は生育地域の環境に適応しているため、このような適温環境の差が存在しています。
「野芝」や「高麗芝」などを代表する日本芝は夏が成長期にあたるため、この時期に綺麗な緑色の葉を茂らせます。しかし冬になると休眠するため、葉が枯れ色あせた黄色いグラウンドが目につくようになります。
一般的な西洋芝は比較的冷涼な環境で育つ品種が多く、日本の夏は休眠期で冬が成長期にあたるため、日本芝が枯れる時期に緑色で綺麗な葉を生い茂らせてくれます。耐陰性や繁殖性が強い品種が多いのも特徴。その代わり日本芝とは逆に夏になると葉が枯れてしまいます。
しかし実は、西洋芝には夏型(暖地型)と冬型(寒地型)と呼ばれるタイプが存在しており、比較的寒い地域に向くと言われる西洋芝でも、日本の夏に向く品種も多く存在します。
日本列島は南北に長く気候帯も様々。
地域によって芝の向き不向きがあります。
私の住む関東圏はその中でも比較的中間な気候帯なので、極端な品種以外は世話次第で多くのものが適応可能なようです。
日本芝の主な品種
ノシバ(野芝)
コウライシバ(高麗芝)
ビロードシバ
西洋芝の主な品種
夏型芝
バーミューダグラス類
セント・オーガスチングラス
シーショア・パスパラム
冬型芝
ベントグラス類(ベント芝)
ライグラス類
ブルーグラス類
フェスク類
日本の芝は夏型のみなのに対し、西洋芝には夏型と冬型の品種が存在します。
特徴の違う品種も多く存在するので、住んでいる地域や性質の好みに合わせて種を選ぶことが可能なのは嬉しいですね。
暑さに強い西洋芝『バミューダグラス』を播種
育苗された芝マットではなく、種を蒔いて芝を張ることにしました。
芝マットを敷く方が簡単なのですが、ちょっと割高なのです。
今回芝を敷こうと考えている敷地は200㎡程あるため、芝マットを購入するとかなり高額になります。芝生の種は品種によって価格差はありますが、マット状の芝を買うよりはかなり安く抑えられます。
それに、ホームセンターやネット通販で購入する芝は、10枚程度を紐で芝って販売されており、切り出しから日数が経つものの中には枯れているようなものも目につき、必ずしも品質が良いとは言えません。また芝張りに丁度良いとされる春〜梅雨時期には品薄な状態が続くことも多く希望の芝を見つけることは難しい…。
「それならば、種から蒔いたら良いじゃないか」ということで今回の種購入に至った訳です。
バミューダグラスは日本の温暖な気候でも育てやすい品種。
今回私が購入したのは「バミューダグラス」という芝。
見た目は一般的な日本芝に比べ葉が少し太めなのが特徴です。
そのため耐踏圧性が高く踏まれても大丈夫。
公園など多くの人が足を踏み入れるような場所でも力強く生育するため、日本や緯度の低い温帯地域では校庭やゴルフ場、サッカーグラウンドなどで広く利用されているそうです。
また丈夫で管理も容易なため、芝の取り扱いになれない私のような初心者でも育てやすいというのも選定のポイントでした。
少々お高めですが、今回はタキイから販売されているバミューダグラス「サバンナ2」という品種を購入。
サバンナ2
発芽定着が早い!すり切れ抵抗性に優れる!
特性
葉のキメはやや粗いが、密度の高いターフを形成する。
耐暑性、耐干性に優れる。
すり切れ抵抗性に優れ、再生力も旺盛。
春の萌芽はやや遅いが、秋の緑度保持期間が長い。栽培ポイント
播種適期
中間・暖地
4~7月/8月下旬~10月中旬
冷涼地
5~7月(温量指数95℃以下の地帯では越冬不可)播種量
芝生用・緑化用
10~15g/m²
他草種との混播
30~60%(重量比)用途
ゴルフコースのティーやフェアウェイ、ラフ。
スポーツ競技場や公園、家庭用芝生。
河川敷や堤防・道路の法面および飛砂防止。出典引用:タキイ種苗
タネの蒔き方
さあ、種を蒔きましょう!
今回は庭に直播する方法のほか、必要な箇所に苗を移動して移植できる用に育苗ケースでも種まき育苗しました。
必要な道具(土・麻布・育苗ケース)
直播(じかまき)のように予め土がある場合は良いのですが、育苗ケースで種まきをする場合には土が必要となるので培養土を用意しました。
今回購入したのは赤玉土。
小粒と芝の目土(さらに極小粒)。
播種後の乾燥を防ぐための麻布。
種まきを行なったのが7月。梅雨は明けてしまいました。
朝夕に水やりは行いますが、天気が良いとすぐに地面が乾いてしまいます。
麻布で土を覆うことで地表面の水分蒸発を防ぐことができます。
発芽には日光も必要なのと、生地自体に保水性もあるため、目の荒い麻布が丁度良い感じでした。
育苗ケース。
好きなところ、足りないところに芝を移動したいので、直播とは別にこちらも用意しました。もともと稲の苗を育てるための既製品なので、安価で入手可能です。1ケース100円くらい。
「育苗ケース」を使えば好きな場所に移植可能
まずは育苗ケースの方から。
赤玉土を敷き詰めていきます。
粒の小さい方(芝の目土)から先に敷いたところ、ケースの排水穴からポロポロとこぼれ落ちてしまいました。粒の大きい赤玉土(小粒)を先に敷いたほうが良かったかも…。
ある程度土が入ったところで平らに均し、ジョウロで水をまいて土をしっかりと湿らせておきます。
準備ができたら種を蒔きます。
蒔き終わったら薄く覆土しさらにもう一度ジョウロで水をまきます。
保水のため目の荒い麻布を被せたら完了。
乾燥していると風に飛ばされる心配がありますが、水撒きをしてしまえば心配ご無用。
また、発芽すると芝の葉が麻布の目に入り抵抗となるので重しなどは無くても平気でした。
数日後には一斉に発芽していました。
ある程度生い茂ったら、不足箇所への補填に使おうと思います。
《ここで注意》
トレーは直播と比べ乾燥しやすいので、こまめな保水の管理が必要です。
真夏などは土が乾くと発芽した苗がすぐにダメになってしまうので要注意。
ある程度大きく成長するまで(移植するまで)は麻布を被せたままにしておいても良いと思います。
直播で一気に芝張り!
続いては直播での栽培。
更地になり味気のない庭です。
ここに芝の種を蒔いて緑地を作りたいと思います。
まずは表面の土を軽くほぐしておきます。
整地後でカチカチだったので、クワやレーキ(猪八戒が持っていそうなギザギザの平すやつ)などで地面表層の土を掻きます。
直播後は傾斜を大幅き変更することができないので、この時点で完成後の傾斜などを考えて置くことが重要。
我が家では手前側の排水溝に雨水を流したかったので、手前が低くなるよう若干の傾斜をつけてあります。
播種開始。
ひとつかみ握った種を左右に細かく振って蒔いていきます。
こちらは種まき後の覆土をまくために使うフルイ。
右側の大きな目のものしか使いませんでした。
土は傾斜をつけた際に余ったものを使っています。
ペタペタペタペタ…。
覆土の上から踏んでいきます。
土と種を密着させることで、タネの吸水性や土の保湿性が上がり発芽が良くなります。
この踏み踏み作業が何気に疲れる…。
最後に保湿のため麻布などで地面を覆ったら完成。
この上からたっぷりとお水をかけてあげます。
数日後、こちらも一斉に発芽しました!
ところどころハゲがあるのは、泥水が溜まった場所。
均等に均したと思っていましたが、凸凹があったようです。
放っておいても周りの苗が広がっていつかは覆い隠してくれると思うのですが、気になる場合は再度播種し直しても良いと思います。
夏場は水切れご法度(スプリンクラー)
夏場の芝管理で大切なのが、水撒き。
せっかく芽を出した芝が枯れてしまっては悲しいですよね。
夏場は地表面が乾きやすく、まだ根の浅い発芽直後の芝には少々ハードな環境です。
できれば朝と夕方に水撒きをしてあげるとすくすく育ってくれます。
ただ真夏の地表は恐ろしいほど乾くのが早い。
さっと水撒きをしただけでは日が昇り1時間も経つと地表はカラッカラなんて事がよくあります。真夏の酷暑にも耐えられるよう、十分に水撒きをして地面に水分を蓄えておきたいところです。
ただ早起きの苦手な私にとって朝の時間はかなり貴重なもの。
水撒きのために長時間ホースを握って庭に突っ立っているのも何かもったいない。
というわけで、スプリンクラーを使うことにしました。
購入したのは近所のホームセンターで売られていたホースジョイント付きの小型モデル。
ホースの先端にジョイントと呼ばれるパーツを取り付けておけば、ヘッド交換ができるというものです。
ただ我が家で使用している散水ノズルのジョイントと同じ形状だったので付属のジョイントは不要でした。
スプリンクラーをカチッとはめたらセット完了。
あとは蛇口をひねるだけ。
芝は踏んだ方が良い!?
芝は踏まれると分蘖(ブンケツ:芽が分かれること)し、細かく密になります。
また、育成がある程度抑えられるため低い芝を長くキープすることができるので、芝刈りの頻度も減らすことが可能なのだそうです。
ただし発芽直後の芝はまだ弱いのでほどほどに。
十分に生育してからしっかりと踏んでやってください。
可愛いからと大事に育てるよりは、気にせず走り回った方が案外丈夫な芝が出来上がるみたいです。
とはいえ踏まれすぎも彼らにはストレスとなり、場合によっては枯れの原因となります。
とある実験結果からは「踏むのは1日10回程度まで」が良いとの事。それ以上踏むと生育が落ちる結果が出ているそうです。庭仕事などで適度に歩き回るくらいがちょうど良いかもしれませんね。