先日、普段からカングーの整備でお世話になっているルノーのディーラーでついに試乗してきました、新型メガーヌ!
今回は新型メガーヌRSのハイグレード車「トロフィー」に乗れるということで、既にワクワクです。
なんと言ったって、最高出力300ps/最大トルク420Nmのハイパワーなコンパクトモンスター「メガーヌ MEGANE」は、かつてシビックタイプRとFF車世界最速の座を争ったルノー切ってのスポーツモデルなんですから。
今回は走行性はもちろん、音響や振動などの体感、座り心地やグリップなどの素材感など、特にカタログでは分かりにくい体感スペックについてもまとめてみました。
コンパクトセダン、ハッチバック、Cセグメント車など、走りも楽しみたいファミリーカーを検討しているお父さんの参考に是非。
簡単に「メガーヌRSとは」
カングーやルーテシア、キャプチャー、トゥインゴなどを販売するルノーのハッチバックスポーツモデル車、それがメガーヌです。
メガーヌにはパフォーマンスと価格を抑えたGTラインとは別に、F1などを手がけるモータースポーツ部門である「ルノースポール」が開発するガチガチのスポーツ車「RS」と呼ばれるハイエンドモデルが存在します。さらにメガーヌRSには通常のRSの他、トロフィー、トロフィーRといった更にハイグレード車も選べます。
ちなみに今回試乗したのはハイグレード車の「トロフィー」です。
家族4人でも普段使いできるスポーツカー
妻子ある身ゆえ独りよがりの車は選択肢には入れてもらえないわけで、「スポーティーさ」とは相反する「快適さ」というスペックを常に意識しなくてはなりません。
今回の試乗で見つけた妻へのプレゼンに使えそうなメガーヌRS「快適ポイント」を整理してみました。
足回りの硬さは全然不快にならないレベル
出典:ルノー メガーヌRS
お父さんが一番気にするのが足回りの硬さ。
小さな路面起伏で「ドシン!」と突き上げるカチカチのサスペンションであろうものなら、即家族から批判の集中砲火を浴びることになるのは目に見えています。
今回試乗したメガーヌRSトローフィーはバリバリのサーキット走行可能車。
実際に試乗してみて感じましたが、足回りは硬めでした。
硬い足回りは地面との一体感を感じやすく、ドライバーの意思をレスポンス良く伝えることが可能になるため走行性を重視するには避けては通れないスペックではあります。ただし硬いといっても不快かどうかとはまた別。「ドシン」というよりは「ドシっ」最後のどん詰まり感はなく、上品な硬さとでも表現すれば良いのでしょうか。
どうやらその理由は足回りの構造にあるようです。
そもそも車体の衝撃を抑えるためにサスペンションと呼ばれる部位が存在していて、このサスペンションはスプリングとダンパーから構成されています。どちらの部品も衝撃を吸収するものですが、ダンパーは筒状の部品で内部にオイルが充填されて縮む力が働くと筒に開いた穴からオイルが抜けることでスプリングでは補えない細やかな衝撃制御を行います。
メガーヌRSのサスペンションはラリーなどで用いられるダンパーインダンパー(正式には「ハイドローリック・コンプレッション・コントロール(HCC)」)と呼ばれる2層構造の特殊なダンパー技術が使われています。HCCとはダンパー底部にセカンダリーダンパーを内蔵したもので、ダンパーが縮みストローク終端部に近づくと、セカンダリーダンパーのピストンが減衰力を発生し、メインのダンパーのストロークを制限するといった少々複雑な構造のもの。
この2層構造のダンパーのおかげで、繊細な衝撃吸収が可能になり「不快=突き上げ」が起こらないということなのでしょうかね。快適な乗り心地やしなやかな路面追従性が可能という、ドライバーにも同乗者にも優しいサスペンションはたまらんですね。
ちなみに今回試乗した「トロフィー」とは別に以前試乗した「RS」はもう少し柔らかかったです。個人的にはサーキット走行は視野に入れていないので、足回りの硬さだけとるとRSくらいの優しい硬さでも十分楽しめると感じています。
室内空間は意外にも広々
現在はカングーに乗っているので比べてしまうと当然狭いと感じますが、Cセグメント車の中では広々として開放感があるモデルだと思います。
「スポーツカー=狭い」とは過去のもの。FF車であるメガーヌはFR車と比べシャフトなど構造的にシンプルなのでその分室内空間に当てることができます。運転席や後部座席に座った時に感じたのが「思っていたよりも広い」という感覚。
特に後部座席の空間を割いて前席に当てられるようなこともなく、大人が後ろに座っても十分なスペースが確保できました。また運転席や助手席に乗る人の体格によってはその差は生じますが、長距離ドライブをしても苦にはならないと思います。
実際に上記画像では助手席は最後部までシートを下げた状態です。
これだけ引くと助手席空間は相当な広さとなります。それでもまだ足1本分は空間が保てています。実際に4人が乗車する際にはここまでシートを下げることはないともいますし、家族4人で乗車するとなると、必然的に後部座席は子供達が座ることになります。
そう考えると、この空間で十分では。
運転席は成人男性がポジショニングする一般的なレベルのシート位置。私(身長170cm)が座る後部座席は運転席シートまで膝ゲンコツ2個分ほど余裕があります。更につま先はシート下にちょうどよく入るのでリラックスした足ポジションも確保できそう。前座席をある程度引いた感じでも大人が座れる空間は保っている模様。
家族旅行やアウトドアなど荷物を多くなる場合でも、これだけのリアスペースがあれば対応可能でしょう。私の趣味の釣り道具なんかもしっかり収まってくれそうです。
音響が素晴らしい!
1、2、3…8、9…?
あれ?スピーカーがありすぎじゃな?
フロントに5個。後部座席ドアパネルに4個。あら?9個もあるよ!
しかもダッシュボード中央上部には、ひと際大きなスピーカーが…一体何が隠れているんだ。
早速プレイリストに保存されている曲を再生したのですが、それはそれは素晴らしい響き。
抜けるようにスッキリとした高音に思わずニンマリ。
何がすごいかって、これ純正ですから。
大抵のメーカーではオプションとなる高音質スピーカー。音響システムを追加しようものなら軽く十数万は価格が跳ね上がってしまいます。ルノー車は基本的に純正でも音響が良い気のが私の印象。現在私の乗っているカングー(ゼン)も純正スピーカーのまま使用していますが、社外品に交換しようと思うようなこともなく、むしろカングーって案外音良いなと思うレベルでした。そしてメガーヌの純正スピーカーはそれを遥かに凌ぐ質。ざっくり体感的に3倍増くらい音質がいい感じ。特に高音は本当にクリアでキレの良い音でした。
試乗時には是非音を聞き比べてみてください。
びっくりします。
よおし!これはかなり大きなポイント。
音楽好きの妻の心をぐらぐらに揺れ動かせそうな気がしてきました。
本性はワイルドだけど、空気を読むお上品マフラー
出典:ルノー メガーヌRS
ゲルルン。ゲルルン。
本領発揮時のマフラー音を擬音化するとこんな感じ。
たまらん、いい音です。
ただ、日常使いで気になるのが周辺住宅への考慮。
走行時や空吹かせばそれなりの音が鳴りますが、メガーヌRSのマフラー音はそれほど大きくないと思います。個人的にはアイドリング時の音はそれほど気にならないレベルかと。なんなら、ディーゼル車のエンジン音の方が全然うるさいと思っています。
新型メーガーヌRSは「アクティブバルブ付スポーツエキゾースト」というマフラーを装備しています。これ、マフラー構造内に備わるバルブが開閉して排気ルートを変更することでマフラー音を変えることができるという小心な私にも何とも頼もしい機能。
インパネタッチパネルのマルチセンスと連動しており走行モード選択時にマフラー音を変更できます。ちなみに走行モードは「Comfort」「Neutral」「Sport」「Race」の4タイプに加えて、ユーザーが自由に設定できる「Perso」が選べます。今回私が走行したのは「Neutral」と「Sport」のモード。「Sport」モードに切り替えると途端に野生感むき出しのやる気サウンドが響き渡りました。
早朝や深夜など静まりかえった住宅街では「Neutral」モード、一人でドライブを楽しむなら断然「Sport」モードが気持ち良さそう。
ドキドキのスポーツモードを押すと一皮剥けた!
前述の通り、メガーヌRSは走行モードの切り替えが可能。
今回の試乗では「Neutral」「Sport」という2つのモードを体感してみました。
なんだか本気を出したようなマフラー音。
「Neutral」から「Sport」に切り替えた途端に化けの皮が剥がれました。
車と体がリンク!アクセルを踏むと頰が緩む
うほっ!
見通しの良い直線の道に入り少し深めにアクセルを踏み込んでみたところ、ついニンマリとしてしまいました。
最高出力300ps/最大トルク420Nmが誇るこの加速感。
大げさすぎないけど、しっかりと伝わる品のあるマフラー音。
路面をとらえる足回りの良さ。
アクセルを踏むことでこの車の良さが体に伝わってきます。
完全にメガーヌとリンクしてしまった私は、アクセルを踏みこむ度に頰の筋肉が連動して緩み始めてきたのでした。少しでも強くペダルを踏み込もうものならヨダレを垂らしてしまいそうです。
贅沢を言うならば、車の良さを発揮できる広々とした郊外などを走りたいところでしたが、この短時間でも十分に作りの良さは感じ取れました気がします。
こりゃいい車だ。
でっかいディスク、これはよく止まりそう!
真っ赤なキャリパーが目を引きます。
そうF1やラリーなどモーターレースでおなじみのブレンボのブレーキキャリパーを採用しているメガーヌRS。早く走る分、しっかりと止まります。
また、性能もさることながらデザインにも注目。
大きなディスクとキャリパーを装備する足回りはメガーヌ一押しのオシャレポイントかもしれません。それにこの桜の花びらみたいなホイール。かっこよすぎます!これでも純正ですよ、ちょっと。
ちなみに今回試乗したトロフィーの場合、ホイルは赤いラインの入った「19インチアロイホイール ‘TROPHY」。タイヤは、Bridgestone POTENZA S001(245/35R19 93Y XL)を純正で履いています。
デザインが一々カッコイイんだもの
メガーヌのデザインで特徴的なのがライト周り。
eの字型のヘッドライトや細長いテールランプは一目でメガーヌだとわかる個性的なデザインです。新しい新型メガーヌからやっとヘッドリア共にLED化され、テールウインカーは流れるウインカー(シーケンシャルウィンカー)を採用。あいにくの空模様でしたが、雨に滴るボディーラインは個性的なデザインを更に際立せていました。
個人的に気に入っているメガーヌのデザインがこの曲線美。
一見フラットで単調に見えるデザイン。
いやしかし、無駄な出っ張りは無いが丸みとくびれを意識したメリハリあるボディライン。
個人的には、国産車にありがちな「あさっての方向に向くライン」が無いところが気に入っているポイント。丸みは持たせていても、すべて水平並行といった規則性・安定感のあるデザインには飽きの来ない普遍性を感じてしまいます。無駄を削ぎ落とし洗練されたバランスの良いデザインは国内車にはない美しいかたちですね。
まとめ
足回りもマフラーも音響も、何にもいじらなくても完璧。
メガーヌは純正でも完璧すぎて、もはや手出しができない状態です。
そう考えると、純正でこれだけ十分すぎる装備が付いてくるメガーヌRSはかなりコスパの良い車なんですよね。
それから、EV化や次世代エネルギー車化が進む現在の自動車業界で、今後ガソリン車のエンジン開発が進むことはなかなか難しいと感じています。もしかするとこれが最後のガソリン車なのかと考えると、着火で動くピストンの振動を感じて育ってきた世代の私はやはりこう思わずにはいられないのです。
この機を逃してはならない。
ディーラー営業の方に聞いたところでは、輸入台数もそれほど多くはないとのことでしたので、実際に購入を考えるとなると即納車は厳しく次回の輸入の時期を見ての納車となるんだろうと思います。こりゃ早めの検討と決断が必要ですね。
実際に各グレード各色で輸入台数は決まっているようで、これを契約が入った全国のディーラーへと納車されるみたいです。ダブつくような輸入はしないので、生産終了後には早い段階で完売となるんだろうなぁ。