【月齢/農業】「月」が与えるリズム。植物の成長や種撒き、釣りにも影響が?

月齢と釣り_満月の釣果。

「木は下弦の月に切る」「満月は不漁、新月は大漁」

月の満ち欠けに合わせてする作業。
林業や漁業には今でも言い伝えられている習わしです。

昔から、材木に使用する樹木は満月に切ると腐りやすく、新月に切ると長持ちすると言われています。これは、月の引力によって植物内で水分を蓄える位置が変化することが要因していて、植物体内の水分や栄養分はひと月の間、常に循環しているそうです。

満月の時期は樹木の水分が地上部へと移動し、新月の時期は反対に水分が根などの地下部に移動します。材木は水分量が多いと腐りやすく、水分量が少ない方が保存性も良い訳で、そのため材木として利用される地上部の水分量が減る新月に伐採をするそうです。

月から受ける引力の影響は、潮の満ち引きに影響を与えてることは広く知られていますが、それ以外にも地上の身近な植物も影響を受けているのです。
古くから農業では月の満ち欠けを上手く利用して、種まき、植え付け、収獲などを行う時期をきめていたようです。このように農業においても月に由来する習わしが多く存在していました。しかし農薬や化学肥料の普及が広がった半世紀の間に、必要性の薄れた慣習はどうやら忘れ去られてしまったようです。

今回は私が調べて参考にしている月齢の利用法について綴ってみます。

月齢と農業 種蒔き・収穫の適期

月の満ち欠けが私たちの生活を操作している

どうやら忘れてしまっているらしい。

ポケットからスマホを取り出せば手元で明かりを灯すことができる今の時代。
どこに目をやっても月以外の明かりがある環境に慣れてしまっている私は、電気のなかった当時の人よりも自然の変化をとらえる感覚が鈍くなっているのは確か。感覚的に月の存在を感じ取る能力は薄れてしまっているみたいです。

「何を言っているのやら」
と、受け流していた先人の言葉にも、大切ななメッセージはあったのかもしれないと思い起こすことはあります。

古くからある言伝えや、爺ちゃん婆ちゃんの口癖など昔からある物言いには何かしら理由があるもの。先人が残してくれた知恵をもう一度検証してありがたく使わせてもらいます。

日本古来のみならず古来インカの時代から世界各地で活用されてきた、月齢にまつわる農作業適期などについてまとめてみました。

月が地球に与える「重力」と「光」

月齢と農業 種蒔き・収穫の適期

月は新月(朔)→上弦→満月(望)→下弦→新月(朔)の順に繰り返し見た目の変化を続けます。週の周期は約29.5日。ほぼ1ヶ月ですが、この本来の月の周期「旧暦」(太陰太陽暦)の方が現在使用している現代暦(西洋由来の太陽暦)の日数よりも若干早いので、厳密には徐々ずれていきます。そして、この月の周期が私たちの生活に大きく関わっているみたいなんです。

月の満ち欠けが地球との間で生み出すのが、重力差。
鈍くなってしまった私たちの体は、その差を感じ取ることは難しいですが、目に見える形でその差を知ることは可能です。

よく知られているところでは、潮の満ち引き。
海釣りをするようになってからは、特に注意深く意識するようになりました。
1日の中に満ち引きがあるのはもちろん、1ヶ月の中でも「大潮」「中潮」「小潮」「長潮」「若潮」と違った呼び名があり、満潮と干潮の時間帯や満干時の海面位置が変化したりもします。また、この潮の満ち引きのほかどうやら動植物の成長や行動にも大きく影響を与えているようなのです。

植物は根から吸収し体内に蓄えた水分を循環させながら成長を続けますが、この体内の水分も月の満ち欠けで蓄える位置が変わってくるそうなのです。
新月には水分は根に集中し、満月に近づくにつれ水分は上部に上って行きます。そして月が欠けるにつれて下部へと下がっていくと言われています。
木材として利用する樹木などは、水分量の少ない時期を狙って伐採し材木へと加工して利用しています。植木屋を営んでいた私の祖父も、仕事で利用する竹などは家の裏山から伐採して調達していました。ただその竹を切るのは秋〜冬にかけて。そして祖父が言うには特に「新月が良い」と。

秋〜冬のこの時期は、竹自体が根から水分を吸い取る力が衰える時期にあたります。そしてその中でも特に新月は伐採後利用する上層部に水分量が少ない期間。

これを「木が眠る」と呼ぶそうです。

昔から自然との関わりを強く意識してきた日本人にとって、月と植物の状態変化の違いを感じとることは自然なことだったのかもしれません。現代暦11月〜12月の新月に伐採された樹木は水分(栄養素を含む水分)が根に落ちているため、「反らず」「腐らず」最高の木材となるそうです。きっと現代まで残されている歴史的な木造建築物もこういった時期に伐採された木材を使っているのでしょう。

家庭菜園、草刈りや釣りにも影響

月齢と農業 種蒔き・収穫の適期

月齢の与える影響をもとに私が取り組んでいるルーティーンです。
忙しい時などは時期を外すこともありますが、できればこの時期にといった目安。
野菜の種蒔き・収穫・採種、竹や草木の伐採、虫や魚、動物の行動についても様々な影響があるみたいです。

野菜

月齢と農業 種蒔き・収穫の適期

種は月の引力や光の強弱を感じ取り発芽時期を選ぶとも言われています。

どうやら月の満ち欠けは、植物の成長にも大きく影響を及ぼすみたいなのです。

生殖成長と栄養成長

新月から満月に向かう時期は「生殖成長」と呼ばれます。
この時期、特に月光が強まる満月に向かう時期、種はもっともその影響を受け発芽しやすくなると言われます。

逆に満月から新月に向かう時期、これを「栄養成長」と呼びます。
発芽した苗が根や茎、葉を活発に成長させる時期で、ポットで育てた苗を植え付けるには最適の時期と言われます。

種蒔き・収穫・採種の時期

種まきは大潮に。
「実」を食べるのか、「根」を食べるのか、「葉」を食べるのか。
この3種類の違いによって播種する時期を変えています。

基本的に満月か新月かに種を撒いています。
一般的には春から秋にかけて多くなる地上果野菜。トマトやナスなど地上にできる実を食べる植物は上弦の月から満月にかける時期に種蒔きをします。

逆に根を食べる植物。カブや大根、じゃがいもサツマイモなど。
これらは満月以降下弦の月から新月にかけて播種(植付け)をしています。

基本的にはじめに上層部か下層部かどちらに強く成長をもたらすかによって播種の時期を選んでいます。

葉物野菜は二十六夜が良いとの言い伝えがあるので、それに習っています。
これについての理由はよくわかりませんが。

収穫時期は気分。
でも、地上果は満月。地下果は新月。
これも水分の移動に合わせたもので、水々しい野菜を収穫するのであればこの時期が最適と言うものです。

採種については、この逆。
保存性を考慮すると水分量は少ない方が良い。
と言うことで地上のものは新月に、地下のものは満月に採種するようにします。

「木は下弦の月に切る」

この言い伝えのとおり、満月から新月に移る下弦の月に切るのがベスト。
さらに、季節は11月〜12月にかけて。この時期は竹が成長を止める時期で根からの水分吸収も一番少ない時期と重なります。

今は亡き祖父が刈った農園用の篠竹が未だ木小屋で腐らずに残っているのがその証拠。
モノが溢れる情報過多のこの半世紀の間に、私たち現代を生きる人間は多くのことを忘れてしまったようですが、古くからの伝承を引継いで生きていた先人は大切なことはしっかりと残していたのですね。

草刈り

月齢と農業 草刈り 適期/いつ?

草刈りは人それぞれスタイルも違うと思います。

とことん刈って無草地帯を保ちたい人もいれば、私のように多少草が生えていた方が嬉しいと言う者もいます。今回はそんな私流の草刈り。

草が生えていると、保湿性もあるし土にも空気が入りやすい。さらに作物の害虫を捕食する生き物を住まわせるバンカープランツとしての役を期待できるなど、私はそれを良い環境だと認識しています。

ただし作物以外に草が生え過ぎても肝心な野菜の成長が衰える。
また、タネを多く飛ばす雑草は近隣で畑をしている方達の目も少なからず気になるのも本音。
そんな時には区画を分けてしっかりと草を刈ります。
草を駆逐するのが目的ではなく、あくまで量を減らすため。
大切な虫が住む場所を残すように区画を区切って草刈りします。

草刈り時期は、下弦と上弦に各1回。
1回目は軽く地上10cmくらいまで。
2回目は地表まで。

月に2回刈ると、上層系も下層系もどのタイプの草にもダメージが大きいようでだいたいこれで草臥れます。

虫や動物

月齢と釣り_満月の釣果。

満月の夜に孵化。

多くの虫の卵は満月の月明かりを浴びて孵化します。
満月に近づく時期に葉の裏をめくると大抵何かしらの卵がまとまって産み付けられていたりします。それらの多くは満月の夜に孵化するのです。

基本的に自然放任の私の畑では、これらの天敵も多く居るため積極的に駆除することはないのですが、年によっては放任状態では駆除できないほどの量が産み付けられた場合には手を貸すこともあります。

駆除は満月を孵化した幼虫に対して行うか、満月前の卵を取り除くか。
満月前の卵をポロポロと落とす方が簡単そうに思えますが、あまり経験がないので定かではありません。

野生の生物も満月の時期になると活発に行動をするようになります。
もともと暗い夜の間に活動をすることの多い野生生物にとって月の明かりは視覚的にもかなり重要なもの。満月の月明かりはまるでパーティー会場のイルミネーションのごとく気分も盛り上げてれるのではないでしょうか?

そんな時によく見かけるのがタヌキ。
彼らは満月の夜になると繁殖のために行動範囲を広げます。
そして行動範囲上に敷かれた道路を渡る際に自動車と衝突することも多々。
この時期には運転にも注意が必要です。

魚(釣り)

月齢と釣り_満月の釣果。

「満月は不漁、新月は大漁」

漁師の間では古くから言い伝えられている伝承のようです。
満月も新月も潮の満ち引き(干満の差)は同じく激しくなる時期。

ただし月光は魚の警戒心に影響があるようです。
満月の光は獲物を見つけやすい反面、捕食される危険性も増えます。
常に捕食の危険性を意識している小物の魚にとっては最もリスクを恐る時期にも当たるのですから、満月は怖いわけです。

そのぶん、新月なら安心して活動できる。
さらに目の良いアジなどは喜んで活動するのでは?

まとめ

毎日在るのにふと忘れている存在。
もう一度見つめて感じ直してみると、案外気がつかされる事が多かったりもします。

晴れた夜には空を見上げてみましょう。

じーっと見つめていると、何か感じることも有るかもしれませんよ。

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