この時期実家の畑の隅で実をつける果物があります。
イチジク(無花果)です。
今までどう食べたら良いものか、このありがたい恵みを持て余していたのです。
そこで、このイチジクを使ってシロップを作ってみたところ、何とも新鮮な風味でとても美味!
今回はイチジクのシロップの作り方を紹介します。
イチジクとは
効能
イチジクは昔から「不老長寿の果実」と呼ばれていただけあり、とても体に良い果物です。
他の食べ物と比べると、ペクチン、カリウム、カルシウム、ビタミン、鉄分、アントシアニン、エストロゲンといった成分が豊富で、腸の活動を活発にし便秘改善に効果があるほか、糖尿病予防や抗酸化作用、女性ホルモンのバランスを整えるなど様々な嬉しい効果が期待されている果物なのだそうです。
新鮮な採りたてイチジクは切れ目から白い乳液が出てきます。
この乳液はイボの治療に効果があるという話もありますが、切り口から実に入る雑菌を殺すための酵素が含まれているそうで、肌につくとかぶれる可能性もあるので注意が必要です。
品種
イチジクの原産はアラビア地方。
旧約聖書でアダムとイブがエデンの園で食べた禁断の果物もイチジク。
実を食べて裸であることに気がつき、イヤンっと腰を覆ったのがイチジクの葉だそうです。
このイチジクの木、もともとは雌株と雄株が別々にある植物なのだそうです。
受粉にはイチジクコバチと呼ばれる小さなハチが手助けをしていて、熟したイチジクの実のお尻にあいた穴から入ったイチジクコバチはそこで卵を産み、孵化して成虫になったハチが花粉を付けて他のイチジクに入ることで受粉し実が肥大化します。
実際に熟れたイチジクのお尻を見ると穴がありているのがわかりますよ。
ただしこのイチジクコバチ、遠く離れた日本にはいないそうです。
ではどうして実が肥大化するのかというと、受粉しなくても肥大化する品種もあるからなのだそうです。
日本ではこのような品種のイチジクが主に栽培されているそうです。
イチジクの花って見たことありますか?
無花果(イチジク)は「花の無い果実」と書きますが花が無いわけではありません。
夏になり新枝が伸びだすと枝の先端に実がつき始めます。
じつはこれは実ではなく、花嚢(かのう)と呼ばれる花を入れた袋のようなもの。
つまりこの実のように見える花嚢の中にイチジクの花がたくさん詰まっていて、私たちは甘い甘いと言って花になる部分を食べているのです。
普通の果物は花が咲いた後に受粉した雌しべの子房が発達したものを食べるのですが、イチジクは花そのものを食べているのですね。
程よい甘さのイチジク
夏になると実家の畑の周りに植えてあるイチジクの木に実がなります。
10本ほど植えあるのですが、赤い実をつける者もいれば、白っぽい実をつける者いて品種もバラバラ。
赤い実のイチジクは「桝井ドーフィン」、白い実のイチジクは「蓬莱柿(ほうらいし)」という品種だと思います。
ちなみに実家の母は赤いのを西洋イチジク、白いのを日本イチジクと呼んでいました。
明治時代に桝井さんという人がアメリカから持ち帰った品種
江戸時代にポルトガル人によって中国から持ち込まれた品種
私が物心ついた頃からイチジクの木があったような気がするので、かれこれ30年以上の立派な木です。しかし昔はそんなに好きではなかったのですよね。
何と言いますか、
「果物の割にジューシー感が足りない…」
「甘みがぼや〜っと…」
果物としてはパンチが薄いのです。
そういう訳でイチジクを食べるようになったのはここ最近の話。
きっかけは以前に友人がお酒のおつまみにと作ってくれた生ハムを使った一品。
カットしたイチジクに生ハムとちょこっとチーズを乗せただけのイタリア料理なのですが、イチジクの程よい甘さと生ハムの塩気が丁度よく、お酒がすすむ絶品おつまみに大変身してしまいました。実はイタリア料理では肉とイチジクを合わせて使うことが多いそうです。
先ほど述べたようにイチジクから出る白い液には強い酵素が含まれています。
この酵素が肉を柔らかくし料理を引き立てるのだそうです。
ともあれ欠点だと思っていた「パンチの薄い甘さ」は、
「程よい甘さ」として捉えることで様々な料理に使いやすい便利な食材へと姿を変え、イチジクに対する私の姿勢も変えたのでした。
今回はそんな「程よい甘さ」のイチジクを使ってシロップを作りたいと思います。
作り方
いつも作っているドリンクと作り方は一緒です。
1日目
熱湯などで消毒した蓋の閉まる瓶にザクザクと短冊切りにしたイチジクを敷き詰めます。
その上に氷砂糖を敷いて、この繰り返しで瓶を埋めます。
家に余っていた氷砂糖が少量だったため、今回はこのような感じ。
あとは1日1回蓋を開けて素手でかき回します。
2日目
氷砂糖が溶けるとこれくらいの容量。
追加できる材料が余っているならばこの段階で追加します。
今回はそのまま漬けます。
ろ過します
4日目
4日後に味見してみたところ良い感じに。
香りもしっかり乗っています。
今回は冷蔵庫にも入る小さな小瓶に仕込んだので、濾過せずにこのまま冷蔵庫で保存していただくことにします。
秋口で気温の下がった頃なら常温で保存してもいいのかなとも思います。
まとめ
出来上がったイチジクのシロップは、
主張の強すぎない程よい甘さとイチジクの爽やかな甘い香り。
イチジク1:炭酸水10程度でいつもより薄めに割っていただいてみました。
グビグビと飲めるので、暑い時期にはこれくらいの薄味の炭酸が好きなのです。
味は薄めになりますが、さわ〜っとイチジクの香りがしっかりと鼻を抜けていきます。
なんとも上品なテイストで贅沢な気分です。
イチジクが手に入ったらシロップもおすすめですよ。