妻にはぶつくさと文句を言われることもありますが、どうにもゴミ箱には捨てられなくて…。
じつは私、お茶殻やティバックなどの葉っぱ系や、コーヒー粕を集めてるんです。
これ意外と良い土になるんですよ。
小動物や微生物に分解してもらうことで養分豊富な立派な土に戻るのです。
昔の釣り人はお茶殻でミミズを飼っていたと聞いたことがあるほど。
捨ててばかりいないで、一手間加えて豊かな土を大地に還しませんか?
お茶葉は良質な土に
普段、緑茶や紅茶、ルイボスティー、コーヒーなど色々な飲み物を飲みます。
そして、その際に出る粕は捨てずに集めています。
そう、堆肥化して畑の土にする為にです。
じつはこのお茶殻は良質な有機素材。緑茶はもちろん紅茶に至っては既に発酵させた状態のものなので更に自然に還りやすいのです。
湿ったままだと集積しづらいので、一度乾燥させてからタッパーにまとめて集めてある程度溜まったとところで、米ぬかを混ぜたコンポストバケツ(水分量30%程)に1ヶ月ほど混ぜ込んで発酵させた後、畑のコンポストで刈り取った雑草などと一緒に放置して堆肥化させています。
水が無いと発酵が進みませんので、米ぬかバケツは適度な水分を保たせます。
水分量は30%ほど。イメージとしては、ぎゅっと握った団子が指で突いて砕ける程度。ここではまず嫌気性発酵させます。
続いて畑のコンポストに移動(と言ってもポイと捨てるだけ)。
今度は外気にさらし好気性発酵。有機物が分解され、きれいに土に戻ります。
この畑のコンポストにはミミズやダンゴムシ、ネズミなどがいつの間にか居つくようなり、今では小さな動物園のよう。私にとってはみんな堆肥化を手助けしてくれる良い仲間です。
土作りは彼らに頼れ!
雑草は自然と根を張り種を宿します。
もともと自然に放っておけば、植物が育つ環境は自然と出来上がるみたいで、人がアレやコレやと手を加えるよりも、自然の摂理に任せる。そうすると案外たやすく植物は育ってくれます。
野菜作りの上手な農夫というのは、ただ情報量の多い人ではなく自然と向き合いその摂理を知って任せられる人、環境の変化を感じ取れるような繊細な人なのではないかなと思います。
土は耕さなくとも、前に育った根が枯れればそこに隙間が生まれます。
クワを入れるとしてもほんの少し。
サラサラになるまで耕さなくても、大きな土の塊がズレる程度で十分に空気が入り込み微生物は活性化します。
自然界にとっては、こんなことでも大変革ですから十分効果は得られます。
そんな環境を利用して小規模に作物をつくるのが有機農法や自然農法と言われるもの。自然に寄り添って、自然の力を借りて粛々と作物を頂戴する。
週末農夫の私にとって、この自然の力というのはなんとも有難いもので、彼らは休むことなく私の代わりに畑の環境を整備してくれてます。
私は彼らのサポートに徹するのみ。いい仕事ができるように環境を整えてあげる管理職的な立場です。
とりわけ畑のコンポスト(枯れ草や家庭の残飯の集積場)で活躍してくれているのがミミズさん。有機物を食し分解して団粒化した良い土を作ってくれることでも知られています。
生前、私の祖父はお茶殻でミミズを飼っていました。
飼い鳥の餌や時々出かける釣りの餌として使っていたようです。お茶殻をパクパクと餌にしながら、その中でミミズはすくすくと育つ。そして糞は分解され、団子状になって排出されます。じつは、このミミズの糞がまた良い土を作っているのです。
自然の地表をよく見ると、ピラミッドのように積まれた団粒状の土の塊を見かけることがあります。これはミミズのウンチ。触ると意外とさらっとしていて通気性がある。多孔質で保水力もありそうな良い感じの小さな塊なんです。
植物の根にとって良い土とは、適度に保湿し水が流れる土。
雨が降って水が溜まりすぎてしまっては根が腐ってしまいますし、隙間がなく水が染み込まなくカチカチに固まった土では根が伸ばせません。
ミミズの糞は程よく団粒化しているので、保湿性や通気性が良く植物の根が張りやすい最良な環境。おまけに根からの栄養吸収を助ける土中微生物にとっても住みやすい環境となるのです。
古の知恵・ミミズとの付合い
余談ですが、チベットの僧侶は畑仕事をしないそうです。
無殺生を誓う僧侶が鍬を入れた際に「土中のミミズを殺してしまうかもしれない」と言う理由なんだそうです。
さらにインド南部で古くから広まるジャイナ教徒は虫を吸い込んで殺さぬようにマスクをし、腰をかけるときにお尻で踏み殺さぬようにと小さなホウキを携帯しています。
人は古くから小さな生き物たちが自分たちの環境を豊かにしてくれているということに気づき、その存在を尊重していたようです。便利な道具の発明で今はその記憶も乏しいものとなってしまいました。皆が快適に過ごせる環境が結局は豊かな循環世界を作る。いや、作ってくれてきていた。
今更ながらではありますがこれって大切なことでした。
目先の豊かさに踊らされて、こんな豊かな環境に住まわせてもらっていた事を忘れてしまっていたようです。
雨の日は地上へ避難
土にうるさいミミズさん。
有機物のない(魅力のない)土には見向きもしません。
私が畑を始めた当初、いくら土を掘り返そうがミミズさんは1匹たりとも見つかりませんでした。有機物が乏しかったのですね。
刈り取った作物の枯れ木や雑草などをコンポストに集めるようになってから、姿を見せるようになりました。
ただ土のコンディションにはうるさいミミズさん。舗装整備された土地の近くでは雨が降ると地上に姿を見せることが良くあります。そして翌日、天気が良くて干からびている姿も見かけます。
土壌水脈の流れが滞る土地では、雨が降ると土中の酸素が足りず苦しくて地上へ這い上がってくるみたいです。酸素の薄いズブズブの土に戻るわけにもいかず、そのまま翌日は晴天で干からびている姿を見かけるわけです。
雨の日にミミズが這い出る土は水はけがよろしくない傾向があります。
ミミズの行動を良く観察すると、私たちには見えない土の中のようすが少しわかるような気がします。
そうそうそれから、ミミズが姿を表すようになってからは、モグラの堀跡を良く見かけるようになりました。新しい生態系が連鎖していきますね。
まとめ
燃やせるゴミは簡単になんでも捨てられる時代にあえて面倒なことをして楽しんでいる私はちょっと変わり者なのかもしれません。
でもゴミが宝になるのって楽しいですよ。
それから、公言は控えていますが最近ゴミをポイポイと捨てちゃうんです。
ただし、「ちゃんと土に帰るもの」「有機物がいる環境」に限りますが。
インドではチャイ屋さんというチャイ(お茶)を売るお店が多くあります。昔ながらのチャイ屋は簡素な陶器でできた器にチャイを注いでくれるのですが、客は飲み終わるとその器を地面に叩きつけ割ってその場を去っていきます。もともと土からできた器ですから、割れたら砂利になるだけ。そのうち細かくなって土に還ります。
「ゴミはゴミ箱に」と言われて育った日本人の私にとって、当初この作法は抵抗がありましたが、よくよく考えてみればなんとも自然なこと。今一度「環境保護とは何か」と考え直さなくてはならなく感じた体験でした。
なんでも燃やしたり埋め立てたりしては、土がなくなってしまいます。
身から出た老廃物も水に流してどこか遠くへ。
死んでも土に還さず焼いて器の中に閉じ込めて。
そう考えると、現代人って不自然なものなのかな。
自然界から排除されないように、これからはもう少し大地に貢献できるような生活を心がけていきたいと思った次第です。