【レンタルバイク旅/インド】ロイヤルエンフィールドでチベット文化圏へ・ヒマラヤ山脈を走る14日間

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インドバイク旅

標高4000mの峠をいくつか越えると
無毛の大地とそれを囲むように連なる荒涼とした山々が広がっていました。

バイクのエンジンを切るとそこは無音の地となり
時折聞こえてくるのは乾いた風の音。

自分の呼吸が妙に大きく聞こえ
急に寂しくなった私は
この途方もなく広い大地の上に只々存在している
ちっぽけな石ころにでもなったような感覚に陥ったのでした。

そこは今尚チベット文化が色濃く残るチベタンの暮らす地「スピティ谷」。
橋や峠などの要所には、五色の旗「タルチョ」がたなびき、時折現れる集落の中心にはどこも「ゴンパ」と呼ばれる寺院がそびえ立っているのです。

麓の町でバイクを借りた私は、1週間の日程でスピティ谷の中心の町「カザ」へ往復ツーリングへと旅立ったのです。

※チベタン:チベット人のこと

日程とルート

往路:デリー(Delhi)→マナリー(Manari)ロザ(Losar)カザ(Kaza)

復路カザ(Kaza)マナリー(Manari)→デリー(Delhi)

※バイク移動区間

日程:14日間




マナリーまでの道のり

空港→デリー(パハールガンジ[メインバザール])

メトロが開通したおかげで、悪評高かった空港トラブルも減り、アクセスも非常に良くなりました。
空港からはエアポートエクスプレスなどの快速車両も出ており、終点のNew Delhi St.まで20分で行くことが可能。
どちらから乗車しても空いているので座って行くことも可能です。

 

エアポートライン(通称:Orange Line)
I.G.I. Airport(空港)~New Delhi
所要:20分/Rs100

 

「Agala Station,New Delhi(次の駅はニューデリー)」とアナウンスが流れますので降りる準備をしましょう。終点なので降りそびれることもないとも思いますが。

メトロの駅を出て地上に上がるとそこは鉄道駅New Delhi Railway St.の目の前。
幾重にも広がる線路を渡った先が、安宿街のパハールガンジです。
ここパハールガンジには格安の宿が多くあり、世界中から多くのバックパッカーが集まります。旅行者にとっては旅の起点となるインドの中心のようなスポット。

それでは、いざ線路を渡りましょう。

RailwaySt.の中央から線路を渡ろうとしたところ、係員にとめられました。

「ここからは入れない。パハールガンジは今シバの祭りの真っ最中で入場するためには許可書を発行してもらわないと行けない。
このオフィスにいって許可書を発行してもらいなさい。いまトゥクトゥクを呼んだからこれに乗っていきなさい。
インド人はみな親切だから心配するな。」

こんな感じで、変なインド人に絡まれてしまうのはインドあるある。
どんな街に行ってもよくあることですが、やはり旅の起点は不慣れな旅人をカモにする悪い人がたくさん待ち構えているので、ご注意を。

メトロNew Delhi St.からパハールガンジ(メインバザール)へ

線路をまたぐ歩道橋を渡り、パハールガンジに到着です。
シバのお祭りなどはやっておらずいつも通りの賑わいです。

 

デリー→マナリー

夜行バスで移動。

バス(Volvo AC )
デリー(17:00)→マナリー(翌7:00)
所用:12時間/Rs1100

 

出国事前にデリーのメインバザールにある「ロニシゲタトラベル」にメールしチケットを手配しておいてもらいました。多少手数料はかかりますが、サラリーマンの有休旅行になった今では、手数料分の価値もあり大変助かっています。

※2023年現在、どちらも営業を行っていないようです。


「ロニシゲタトラベルRONI SHIGETA TRAVELS」

日本語での問い合わせが可能な現地旅行代理店。日本語堪能なオーナーのロニさんが丁寧に対応してくれます。
似たような名前で「シゲタトラベル」があります。どちらも日本語対応してくれるようですが私はいつも「ロニ」さんの方にお願いしています。


出発の30分前にデスクオフィスのあるアジャイゲストハウスに行き、料金を支払い、リキシャでバスのピックアップ場所まで行きます。

定刻より30分ほど遅れてピックアップバス(普通のツーリストバス)が到着。

15分ほど走りバスステーション近くに停車。

各方面ごとのバスが集まってくるので、スタッフに名前かチケット番号を呼ばれたら乗車。
1時間くらい待たされました。

この時、懐かしい感覚を思い出しました。
それは私が忘れていた「インド時間」というべきものです。
さあ、気長に行きましょう。

デリー出発後は、途中のトイレ・食事休憩のため2、3回停車しましたが私はほぼ爆睡でした。

マナリー

翌朝にマナリー南部にあるバスターステーションに到着。
早く荷を降ろしたかったので、客引きに来ていた宿のおじさんの車でオールドマナリーにあるゲストハウスに宿をとりました。

早速宿のおじさんにレンタルバイクの紹介をお願いしましたが「ROYAL ENFIELD CLASSIC 350が1500Rs/day」とかなりの金額。なかなかのビジネスライクな人で、交渉の余地もなく他のレンタルバイク屋を探しに街中へ出かけました。

ちなみにオールドマナリーのレンタルバイク屋さんでは「ROYAL ENFIELD350」はどこでも大体1500Rsでした。最近は週末にインド人の旅行者が来るようにもなったみたいですが、私が行った10月後半はもうオフシーズンで外国人の旅行者は数えるほど、にもかかわらず強気でした。

マナリーの南部にはチベタンが多く集まっているエリアがあり、チベタン兄弟が経営するレンタルバイク屋さんでお願いすることになりました。

「ROYAL ENFIELD CLASSIC 350」が800Rs/day(8日間)で借りることができました。

「チベット文化圏を旅したい」と言う日本人に親身になってくれ、ルートの説明からパーミット(交通許可書)の手配、予備タンクや簡易修理キットなど至れり尽くせり対応してくれました。本当にありがたい。

チベット文化圏を旅をしていると思うのですが、私の出会ったチベタンは概して日本人に親切です。チベタンと比べたらおこがましいことですが、同じ仏教徒として共感を抱いてもらっているのでしょうか。
ともあれ、翌日の出発に向けてパッキングを終え早く寝ます。

→ロザ

早朝に出発です。
山陰に入ると10月の北インドは寒いです。

近くのガソリンスタンドでタンクと予備タンクに給油して、いざ出発です。

北インド スピティ谷 バイク チベット

前日に買ったミニタルチョをハンドルに付け、なびかせながら走ります。

ロンタン峠(Rohtang Pass)までは道もしっかり舗装され安心して走れます。
途中、峠手前でチェックポストがあり、パーミットをチェックされます。

北インド スピティ谷 バイク チベット 崖崩れ

しばらく走ると渋滞が発生していました。
原因は崖崩れ。バイクだとスイスイ先頭まで来れましたが、修繕が終わるまで30分ほど景色を眺めながら休憩です。

北インド スピティ谷 バイク チベット

ロンタン峠には食事をとれる食堂などもいくつかあり、沢山の旅行者がいます。インド人のツーリストはここまで来て引き返す方も多かったです。

北インド スピティ谷 バイク チベット

この先でレー(Leh)方面とカザ(Kaza)方面とに道が分かれます。
カザ方面への分かれ道は少々細く、走っていると見落としてしまう可能性がありますので近くまで着たらゆっくり走ったほうがよさそうです。

北インド スピティ谷 バイク チベット

分岐から先は道が少しずつ細くなり荒れていきます。
凸凹砂利道になる為、20Km/h程でのろのろ運転です。

北インド スピティ谷 バイク チベット

途中の茶屋がまるでオアシスのように感じます。

高地で食べるヌードルはどうしてこうも美味しいのでしょうか。
これはインドでは一般的なインスタントヌードルの「マギー」です。

北インド スピティ谷 バイク チベット

どんどんと荒涼とした風景へと変わっていきます。
途中雪もパラつき出し少々不安になりましたが、天気は持ち堪えれくれました。

北インド スピティ谷 バイク チベット

峠にはタルチョ(5色旗)やチョルテン(仏塔)などがあります。
無機質で荒涼とした風景の中に、急に色彩豊かなタルチョや真っ白なチョルテンが現れると、なんとも不思議な感じがします。
チベタンの地を旅しているのだと実感が湧いて来ます。

のろのろと走っていたので、日が暮れてしまい、途中のロザの町にて1泊。

夜は停電が何回かあり、真っ暗です。
しかし外に出れば星空が満天!

→カザ〈58km〉

朝方から頭が割れるように痛いのです。
高山病です。

ここロザは標高4100m。
以前にガンジス川源流地の山タポパンのトレッキングの際にも同じような頭痛を味わっています。いきなりの4000mの高地移動、私にはデッドラインだったようです。
あいたた…。

カザまではもう少しなので、出国前に妻にもらっていたノーシンピュアを飲み、少しゆっくり目に出発。

北インド スピティ谷 バイク チベット

カザに近づくと路面状況もだいぶ良くなってきます。
フラットな道が長く続き、少しスピードも出せるようになり快適なツーリングに。

両脇に広大なヒマラヤの山脈を眺めながら無音の中をひた走ります。
頭痛薬が効いてきたのか気分も少し晴れます。

昼過ぎにガザの町に到着しました。

久しぶりに見る大きな町です。
宿は川の奥の旧市街バスターミナル付近に泊まりました。

カザ周辺の見所

・キー・ゴンパ(Key-Gompa)[3880m]

北インド スピティ谷 バイク チベット

カザの街からマナリー方面へ少し戻ったところにあるキー村の少し先のゴンパ。
無毛の大地にそびえる壮大な寺院です。
キーゴンパは旅行者が宿泊することも可能。
また、麓のキー村にも宿があり泊まることができます。

・キッバル村(Kibber)[4155m]

北インド スピティ谷 バイク チベット

キーゴンパの先15分ほど走ったところにある村。
インドで一番高い場所にあるという郵便局から妻と娘宛に手紙を投函しました。

 

・ランザ村(Langza)[4340m]

北インド スピティ谷 バイク チベット

 

・コミック村(Komic)[4587m]

北インド スピティ谷 バイク チベット

ランザ・ヒッキム・コミックの村はカザからトレッキングで回ることもでき、各村ではホームステイすることも可能だそうです。

夏の暖かく緑豊かな季節には是非トレッキングで村々を巡ってみたいものです。

→マナリー

帰りは勝手がわかっているので、往路よりも早く到着しました。
ランタ峠からの下り坂は路面状況も良く、気持ちが良いですよ。

 

インドでレンタルバイク修理ロイヤルエンフィールド

実は行きの悪路で立ちごけをした際にウインカーを破損してしまいました。そのまま返却時にごめんなさいしようかとも考えたのですが、次の利用者がすぐに使えないと困るだろうと思い、帰り道にあった修理屋さんにお願いして直してもらいました。

パーツの在庫があったようで修理は30分ほどで完了。
やはりインドではエンフィールドが何かと都合が良いようですね。

また、宿も別のところへ移動しました。
立地は良かったのですが、正直なところ前の宿のおじさんがビジネスライクな方だったので少し疲れてしまいました。

今回は同じオールドマナリー地区ですが、少し坂を登ったところにあるゲストハウスにしました。
名前はたぶん「RISHI HOUSE GH」だったと思います。
今回は宿の主人も控え目でのんびりできそうな宿です。

情報

レンタルバイク屋

北インドマナリーのレンタルバイク屋さん 「Sonam Holiday Motorbike Rental」

チベタン兄弟が経営するレンタルバイク屋さんです。
場所はメインストリートから下ったマナリー南部のチベタンエリアにあります。

写真には写っていませんが店主のラフールさん、見た目はどこぞの親方のように強面ですが、とても親切で大変お世話になりました。改めて感謝です。

お土産

北インド スピティ谷 バイク チベット お土産

お土産を探していたらついつい買い過ぎてしまいました。
インド北西部クル地方の民族柄グッズやアユルべディック化粧品などなど。
配れなかった残りは、フリーマーケットに出店です。

民族柄刺繍リボン

測り売りで、太いものがRs150/m、細いものがRs50/mでした。
帰国後、民族柄の刺繍リボンを使い妻にトートバックを作ってもらいました。

北インド スピティ谷 バイク チベット お土産インド柄の自作トートバック

オーダーメイドのクルタシャツ

こちらは自分へのお土産。
デリーのメインバザールには仕立屋さんが何件もあって、自分の身丈にあった服を仕立ててくれます。私は別の生地屋で気に入った麻生地を購入し、クルタを作ってもらいました。
通常翌日には仕上げてくれます。私はデリー到着日に仕立てを依頼し、マナリから戻ってきたときに引き取りに行きました。

Rs300/一着〈生地持込〉

一応仕上がりイメージをスケッチして説明したけど、惜しい具合に「長袖に」なっていました…。

北インド スピティ谷 バイク チベット お土産 インド服クルタの仕立て

 

エスニックなイヤリング

こちらは妻へのお土産。
インドより広い懐で旅の許可を出してくれた妻へお土産を探します。沢山あって悩みましたが、この三角イヤリングにしました。「ガーネット」「ターコイズ」「ヒスイ」「ラピスラズリ」が埋め込まれているそうです。

北インド スピティ谷 バイク チベット お土産

道具

■国際免許書

出国前までに各都道府県警察署の運転免許課や運転免許センターなどに行って発行してもらいます。免許センターは即日発効ですが、警察署の場合は2週間程度かかる場合もありますので注意してください。

■予備ガソリンタンク

今回はレンタルバイク屋さんがポリタンク(5L)を貸してくれました。
エンフィールドであれば、カザまでは給油なしでもたどり着けました。
しかし途中のエンストは致命的です。念のために予備タンクの準備を。

■荷物ロープ

100均のものでも海外で用意できるロープよりは優れています。
凸凹な道が多くありますのでしっかりと荷を止められるロープがあると便利です。

■雨具・防寒具

山間部では標高により気温がだいぶ変わります。雨具・防寒具の準備は必須です。

■風よけ・埃よけ

風を受けての長時間運転は意外と疲労します。露出部を少なくした方が疲労は和らぎます。
ヘルメットはフルフェイスタイプが良いです。

■地図(アプリ)

様々なアプリがあるかと思いますが、GPS機能だけでオフライでも使える地図アプリがあると便利です。

私は「MAPS.ME」というアプリを利用していました。
今は「Googolemap」もオフラインで使えるみたいですね。

注意

■交通ルール

地域によって走行車線や信号の形態など交通ルールは様々です。事前にある程度調べてから行ければ安心です。慣れない間は、周りの状況をよく観察し現地のルールを注視しましょう。
ちなみにインドは日本と同じ左側通行です。
しかし、インドでは走行車線を気にせずはみ出して追い越しをかける車両が多くいます。
交通量のある場所では、油断せずにしっかりと周囲の状況を確認しながら走行した方が良いと思います。

■路面状況

海外は日本で走る道路をはるかに超す悪路が存在することを頭の片隅に置いておきましょう。
マナリを出発しロンタン峠までは整備が行き届いた快適な道です。
ロンタン峠後のカザ方面への分岐からは悪路となります。
舗装はなく砂利道です。
私は「凸凹道+湧き水+上り坂」地帯で前輪を取られ、一度エンスト立ちごけをしてしまいました。

■燃料の種類

国、地域によって様々。同じガソリンでも呼び方が違ったりしますので、レンタル時にスタッフにしっかりと確認をしておいてください。

■予備燃料

予備燃料はあった方が良いと思います。
マナリからカザまでは給油なしで走行可能でしたが、万が一途中でエンストしてしまうとかなり悲惨です。
私は普段MSRのガソリンバーナーを現地の予備タンクとして併用しています。

■ルート(燃料の補給/体調/天候)

燃料の問題もそうですが、長距離移動の際には事前に計画を立てておきましょう。
ガソリンスタンドの有無、天候や気温差などを現地の人に聞き、予備燃料の準備や服装・装備の確認をしてから出発をしましょう。
ある程度余裕の持てるルート配分も重要です。悪路や崖崩れなど様々な交通問題が起こり思わぬタイムロスをする可能性もありますので、出発は早めに、到着も早めにを心がけてルートの配分することをおすすめします。また慣れない道での夕暮れ・夜間の運転は非常に危険ですし、心細いです。

また、峠付近は時期によっては積雪があります。
11月〜4月くらいまでは積雪のため通行ができなくなります。

■防犯

レンタルバイク屋さんで貸してもらった5Lポリタンクにガソリンを入れ宿の前に駐車していたのですが、翌朝ポリタンクが盗まれていました。
インドでは生活水準におけるガソリン代が高く、高価なもの。
タンクは部屋の中まで持って行った方が良いですね。

 

【レンタルバイク旅/ラオス】スズキSMASH1100で古都ルアンパバーンへ10日間の旅
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まとめ

とにかくスケールの大きいヒマラヤ山脈の道。
できることならば、自分の運転でその道を走ってみるのも面白いと思いますよ。

また、今回旅した時期は10月。
もう高地では冬を迎える時期のため景色は荒涼としたものでした。
春から夏にかけては緑も茂り、また違った雰囲気の旅となると思います。

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