最近実の生りが衰えてきた我が家のキウイフルーツ。
思い返せばここ数年ちゃんとした実がなっていないかもしれません。
そこで伸びていたツルをカットした先に、新たに別の品種を継ぎ足すことにしました。
今回接木にしたのは、幻の赤いキウイ「レインボーレッド」という品種。
芯が赤い見た目もさることながら、豊産性で酸味が少なく高糖度の甘いキウイフルーツらしいです。
今回はキウイフルーツの接木方法と管理の仕方を振り返ります。
赤色系キウイ「レインボーレッド」を接木します!
ニュージーランドのイメージが強いキウイフルーツですが、本来の原種は中国の長江流域沿いなのだそうですよ。そのため日本の気候にも順応性が高く、栽培も容易です。
このキウイフルーツ、現在は100種類以上の品種が存在し、姿形・色・味・収穫時期など様々なものがあります。
「キウイフルーツの色は?」と聞かれてパッと頭に浮かぶのは緑色。
日本で多く栽培されているキウイフルーツはこの緑色の「ヘイワード」という品種。
ただキウイフルーツには緑色系以外にも黄色系や赤色系といった果肉色の違う品種も多く存在しています。近頃はゼスプリのサンゴールドなどのような黄色系の品種も輸入されはじめ、スーパーなどでも目にすることが多くなってきました。
今回、私が接木に使用した枝は「レインボーレッド」。
果肉が赤い、いわゆる赤色系の品種です。
レインボーレッドの特徴
キウイフルーツは果肉の色で特徴の似たグループに分けることができます。
緑色系は貯蔵性が高く、程よい酸味あるのが特徴。
黄色・赤色系は開花・収穫時期が早く、糖度が高いのが特徴。
今回のレインボーレッドは赤色系で、収穫時期は11月上旬。
一番の特徴はその甘さ。
糖度は19度にもせまる極めて強い甘味を持つ品種です。
ただし収穫時期が早い分、その前の開花時期も早くなります。
一般的な緑色系の開花時期が5月中旬なのに比べ赤系の開花は4月下旬。
そのため、既存の緑色系雄木の開花時期と合わないため自然受粉ができないのです。
ではどうするかというと、人工授粉か同時期に開花する雄の品種を植える(or接木する)という方法があります。
今回は雄木については触れませんが、またどこかで。
まずは道具と接木用の穂木の準備から
それでは早速接木の準備に取り掛かります。
まず用意するのは下記の道具。
- 接木用の枝
- メデールテープ
- 小刀
- 剪定バサミ
- 木工用ボンド
キウイフルーツの接木は樹液の流動が停止する気温の低い1月下旬から2月中旬が適期です。
まずは接木用の枝を作ります。
接木は節がついた冬季剪定時に保存した穂木を用います。
接木直前に採取したものでも大丈夫です。
剪定バサミを使ってカットします。
ちなみにカットしてしまうと枝の上下がわからなくなることがあるので、事前にマジックなどで印をつけておくと安心です。
小刀を使い、小分けにした穂木の下側先端を斜めにカットします。
片方は短く、台木にくっつける側は長めにカットします。
台木の準備
続いて、接木する台木側の枝もカットします。
できるだけ接木する穂木の太さと合う箇所で行うのがポイント。
こちらは剪定バサミで垂直にスパリ。
さらに、台木を切り開いて形成層と呼ばれる樹皮の下にある活性層を露出させます。
接木を成功させる大切なポイントは、この形成層同士の癒着をしっかりと行うこと。
できるだけ綺麗に切れる刃物でスパッと切り開いてしまいます。
先ほど切り開いた台木の切り口に、準備した穂木を差し込みます。
形成層と形成層がしっかりと合うように。
太さが合っていれば真っ直ぐ差し込むと2箇所で癒着します。
太さが違う時は片側だけでもしっかりと形成層を合わせておきます。
形成層がずれた状態で固定すると失敗するのでご注意。
穂木を差し込んだ状態で固定します。
接木成功のポイントは、
- 形成層をしっかり合わせる
- 接合部分の形成層を乾燥させない
- 雨水を侵入させない
そのために今回はメデールテープと呼ばれる接木専用の園芸用テープを使用し固定をしました。
伸縮性がある柔らかいテープなので、木に負担をかけずにしっかりと固定できる上、乾燥や雨水の侵入による病気から接合部分を守ってくれる強い味方。
巻くときに少し引っ張り気味にテンションを張って巻きつけると綺麗に包むことができます。
ただし接合部分がずれないようにも注意。
綺麗に巻けました。
後々どの品種を接木したのかわかるように目印を付けておくことを忘れずに。
今回はビニールテープを巻きました。
仕上げは木工用ボンド
接木が完成したら、最後に穂木の先端(カットした切り口)を乾燥枯れこみ防止のために木工用ボンドを塗っておきます。
新芽は節から伸びるので、先端からを塞いでも問題はありません。
木工用ボンドで傷口を覆ったら完成。
まとめ
接木用の枝や道具があれば思っているよりも簡単に接木はできます。
季節が合えば、あとは自然と活着して新芽が出てくることでしょう。
重要なのは「季節」と「形成層」を合わせること。