先日実家に顔を出しに行ったところ、ちょうど母がお味噌を仕込んでいるところでした。
いつもは頂いて食べる専門だった私ですが、そのうち自分でも作れるようになりたいと思い、味噌の仕込み方を教えてもらうことにしました。
じつは味噌って思っているよりも簡単に作れるみたいですよ。
今回はうちの母の味噌の作り方を紹介します。
大豆と黒豆のハーフ&ハーフ
通常は大豆100%で仕込むのですが、私の実家の味噌は大豆と黒豆を半分ずつ混ぜた半黒豆味噌。
何でかはわかりませんが、生まれた時からこの味噌を食べて育っています。
それでは早速仕込みを始めていきます。
工程は少し多いようにも感じましたが、「一度作れば簡単!」との事。
材料
- 大豆1kg
- 黒豆1kg
- 麹(乾燥)2kg
- 塩1kg
道具
- 樽(ポリでも陶器でもOK)
- ラップ(厚手)
- 落し蓋
- 重石(ペットボトルでもOK)
作り方
- 大豆を一晩水に浸ける
- 容器の消毒
- 塩きり麹を作る
- 大豆を煮る
- 大豆を潰す
- 塩きり麹を混ぜる
- 容器に詰める
- 重石を乗せて紙蓋をして保存
- 天地返し
- 美味しい味噌をいただきます
1.大豆を一晩水に浸ける
仕込む日の前日に、大豆(以下黒豆も同様)を軽く水で洗い流し一晩新鮮な水に浸けます。
なるべくそのままの水道水は避け、くみ置きした水道水やミネラウォーターなどの天然水を使う方がベターです。洗っている際に浮いた大豆や痛んだ大豆を見つけたら取り除いてきます。
大豆は水を吸うと増えるので、水と容器は余裕を持った配分にした方が良いようです。
大豆が3倍に膨らむと思って、投入する量は鍋の1/3以下までに抑えておきます。そうしないと翌朝大豆が鍋から溢れてしまっているかもしれませんので。容器が足りない場合はボウルなどいくつか小分けにして浸けると良いかもしれません。
2.容器の消毒
味噌は麹菌の働きでできる発酵食品です。
麹菌がスムーズに繁殖してくれるように容器はしっかりと消毒して雑菌を取り除いておきます。
仕込み容器を水洗いした後、熱湯をかけ熱消毒します。
樽にひたひたに注ぐ必要はありませんが、熱湯を満遍なく注ぎ当てて蓋をして蒸らしておけば殺菌されるでしょう。
その後、天日干しして乾燥させれば問題なし。太陽に当てることはこだわらなくても良いのですが、水気はしっかりと切っておきます。
3.塩きり麹を作る
さあ、仕込みを始めます。
まずは麹に塩を混ぜ「塩きり麹」を作ります。
麹は乾燥しているものと生の麹とがありますが、うちの実家では乾燥麹を使用しています。
まずは手で麹をバラバラとほぐし、そこへ分量の塩を入れよく混ぜ合わせます。
湿り気のある天然塩は事前にほぐしておいてから麹に混ぜると満遍なく合わさります。
麹と塩が均一に混ざったら完了。
なお、この後の工程で普通の鍋を使って大豆を煮る場合は、待ち時間にこの作業を行っても大丈夫です。圧力鍋を使う場合はあっという間に煮えてしまうので事前に行っておくそうです。
4.大豆を煮る
前日から浸けておいた大豆をザルにあけ水をきります。
浸け水はそのまま流してしまって構いません。
それでは大豆が柔らかくなるように煮てきます。
実家では普通の鍋で煮ていたのでこちらの方法で説明していきます。
圧力鍋を使う場合はよくわからないので説明書を見てください。
分量が多いので大豆と黒豆はそれぞれ別の鍋で同時に煮ていきました。
大豆が半分かぶるくらいの水で煮始め、煮立つまで強火。
沸騰したら弱火にし10分煮て一度湯を流し、新しい水に取り替えてます。
これは「茹でこぼし」といって大豆のアクを取り除く工程らしいです。
新しい水が煮立ったら、弱火にし5〜6時間煮ます。
途中で煮汁が減ってきたら差し水をして豆がひたひたになる状態をキープして煮続けます。
5.大豆を潰す
煮上がった大豆は軽く水気きり熱いうちに潰してきます。
この際に出る煮汁(種水)は後の工程で使うのでとっておきます。
一般的な家庭にはあまりないと思うのですが、私の実家ではお餅をつく機械があるのでそこにボンと投入して大豆を潰します。ちなみに上の写真がその機械。投入する容器は取り外してありますが、大きなミキサーのような機械です。
普通は厚手のポリ袋などに入れてギュウギュウと押しつぶすようです。
軽く粘りが出て大豆の粒が2割程度残っているくらいがちょうど良いみたいです。
6.塩きり麹を混ぜる
潰した大豆に種水を加えて硬さを調節します。
乾燥麹を使用した場合は少し多めに入れます。
分量は感覚と言っていたのでわかりいませんが、だいたい握って団子になるくらい。
米ぬかぼかしを仕込む際の硬さ(水分量30%)に似ています。
種水を加えた大豆がお風呂の湯くらいの温度に冷めたら塩きり麹を混ぜ込んでいきます。
ここでも母は餅つき機を使用するという横着手段を選ぶのですが、一般的な家庭ではしっかりと均一になるようによく混ぜることで後々美味しい味噌になります。
7.容器に詰める
塩きり麹がしっかりと混ざった大豆を容器に敷き詰めます。
ここで重要なのが「空気を入れない」こと。
よく味噌樽に叩きつけている様子を見たことがあるかと思いますが、あんなイメージ。
叩きつけろとは言いませんが、空気が入らないように底の方からしっかりと敷き詰めます。
叩きつけるのが怖い場合は、ハンバーグを作るときのようにまとめた固まりを樽底に敷き、パンパンと叩いて空気を抜き隙間ができないようにピッチリと押し込んでいってもいいかもしれませんね。
敷き詰め終わったら、最後にもう一度強く押して表面を平らにならしておきます。
8.重石を乗せて紙蓋をして保存
敷き詰めた大豆の表面をラップもしくは開いたポリ袋で覆います。
その上に水平になるように押し蓋を乗せ、さらに重石を乗せます。
この重石がかなり重要。
仕込んだ大豆を押すことで時間が経つと「たまり」が表層ににじみ出てきます。
このたまりによって空気が遮断され味噌の酸化とカビの発生を防ぐことができます。
あとは、比較的涼しくて暗い場所に常温保管して熟成を待ちます。
注意したいのは冷蔵庫に入れないこと。そして直射日光には当てないこと。
これさえ守れば大抵の場所で熟成をさせることができるみたいですよ。
まれに発酵途中で炭酸ガスが多く発生して味噌がプクプクと浮き上がることがあります。これは「湧き」と呼ばれ発酵が盛んになっている状態なので失敗ではありません。ただしウキによって重石が傾いて空気が入る隙間ができているようでしたら平らな状態もどす必要があります。
9.天地返しでさらに美味しく
あとは自然の力で放っておいても味噌になりますが、もうひと手間。
味噌は25~6度でよく発酵します。
寒い時期に仕込んだ味噌は、平均気温20度を超える月を1ヶ月過ごしたくらいの時期に天地返しを行うと良いとされています。
発酵中に発生した炭酸ガスを抜いて発酵がうまく進むようにするため。また、たまりの流れを変え味を均一にするための作業だそうです。
家庭で仕込む程度の量ならば、しゃもじを使ってかき混ぜ、空気を抜いて平らに均してラップを貼り直して再び重石を戻します。
この際、樽の壁や表層カビを発見したら取り除いておきます。
それほど神経質になる必要はありませんが、黒カビがあったら綺麗に取り除いて焼酎などを湿らせた布で拭き取ると良いそうです。
白カビはよく発生するものなので、取り除く程度でも大丈夫。そのまま気にしなくても平気です。
10.美味しい味噌をいただきます
味噌は天地返し後、土用の暑さを一か度越えないと本来の良い味が出ないと言いますが、天地返しが済んだら、もう食べ始めても大丈夫なのだそうです。
熟成が進めばさらに旨味が増してきますが、1年の間に消費しきれないようではもったいないので、小分けに取り少しずつ消費してきます。熟成させる味噌はラップをして重石を乗せて保存し続けます。
好みの味に熟成した味噌はタッパーなどに小分けにして、冷蔵庫で保存することで熟成を止められます。熟成が進み過ぎてしまうと逆に味が落ちてしまうそうです。
容器が空けばまた来年味噌を仕込むことができます。
まとめ
さて、大豆と黒豆のハーフ&ハーフ。
私は食べ慣れたお味噌の味なので、なんと例えればいいのかわかりませんが、妻曰く普通の味噌よりは風味があるそうです。
美味しい味噌作りのポイントは、
- 容器は清潔に
- 煮上がった大豆はすぐに仕込む
- 一夏を越すまでは冷蔵庫に入れない
- カビが出ても大丈夫
- 重石は最後までしっかりと乗せる
だそうですよ。