フンザを後にした私は西へ向かったのでした。
私たちが目指したのはアフガニスタン国境に近いパキスタン北西部のチトラールという都市。
山岳部を走る路ゆえ、この先は峠越えの険しい道のりが続きます。
まずはパンダールという小さな村に1泊したのでした。
乗り換えのいっときの滞在地と考えていたのですが、これがまた何とも心地の良い場所だったのです。
さようなら、フンザ 一路西へ
フンザを後にした私たちは一路西へ向かうことになりました。
目指したのは、アフガニスタン国境に近いパキスタン北西部。
異教徒の暮らす土地「カラーシャバレー」。
まずは北西部の中心都市チトラールへ向かいます。フンザからチトラールまではバスやジープ、乗り合いバンを使っての移動となります。
フンザを後にした私たちは、まずパキスタン北東部の中心地ギルギットへと降りました。
ギルギットで1泊した翌日にバスで西を目指します。
翌朝に出発したバスは山間の谷を登り、お昼過ぎにパンダールという小さな小さな谷合の村に到着しました。
この日はこの小さな村にある唯一の宿に宿泊します。
谷合のオアシス、パンダール村
ギルギットからやってきたのは、チトラールへ向かう山道の途中にあるパンダールという小さな村。翌日の乗り継ぎまで、1泊だけの滞在です。
しかしここパンダール村。
機会があればまた訪れたいと思うほど素敵な村だったのです。
荒涼な山地に現れた、エメラルドに輝く川
チトラールまでは2泊3日の長い道のり。
まずはシャンドゥール峠前のパンダール村に1泊します。
眺めの良い渓谷を走る車窓にポツポツと家屋が現れたかと思ったら、バスが止まりました。
1泊目のパンダール村に到着です。
パンダール村は谷合に広がった平地に集落がポツポツとある小さな村。
ギルギット川が流れる水資源の豊富な村では農作物の栽培が盛んなようで、あちらこちらに小麦畑が広がっています。
雪解けの澄んだ水が緩やかに流れるパンダール村周辺の川は、なんとも優しいエメラルド色に染まっていました。
山から流れ出した白砂が含まれているためか、川は少し白味がかかって見えます。空が近く冴えるように青い色を透過した水は、白い砂色を混ざり淡いエメラルド輝いていたのです。
フライドフィッシュが旨い!
畑の奥にはシャンドゥールからの雪解け水が流れる小川があり、子供達が川辺で何やら遊んでいました。
魚釣りをしているという子供の手には糸と餌をつけた針とオモリが。
それを投げて手びいて魚を釣るのだそうです。
これで釣れるのだから何とも豊かな土地です。
子供達が釣ってきたものであろうか、夕食には「フライドフィッシュ」が一品として並んでいました。
インドではこれにマサラをかけてフィッシュマサラフライとなっていたところですが、ここパンダールでは塩味のみの素材をいかした味付け。長旅人には嬉しいなつかしい味です。
ポロの聖地シャンドゥール峠を越えてマストゥージへ
翌日、名残惜しくもオアシスのようなパンダール村を後にし西へ向かいます。
パンダールから出るミニバンに乗り換え、次なる中継の街マストゥージへ向かいます。
ここからはまさに峠道。
未舗装の砂利道ゆえスピードも出せません。
定員オーバー気味でぎゅうぎゅうのミニバンに揺られ峠道を登って行きます。
出発したパンダールの標高は2900m。
これから標高3700mのシャンドゥール峠を越えて行くことになります。
バスはパンダールのポプラ並木を後にし、縄文杉の様に太い杉がそびえる険しい山道を登り続けます。パキスタン北部の杉は驚くほど太く、植林によるものではなく古くから自生していることを誇示しているように堂々と高くそびえ立っていました。
さらに標高を増していくと、いつしか杉の姿も消えの荒涼とした山肌のみが映る車窓に変わりました。森林限界のようです。
標高3700m。
あたかも浄土にでもたどり着いたかのような安堵感が広がっていました。今まで唸りをあげていたエンジン音も和らぎ、車窓にはフラットな平原が広がっていました。どうやらシャンドゥール峠に差し掛ったようすです。
ここシャンドール峠はポロの聖地と呼ばれているそうで、毎年7月にポロの大会が標高3700mのこの地で行われるのだそうです。
東西対決といって、東はギルギット、西はチトラールの代表がポロの試合をここで行うのだそうですが…こんなところでスポーツなんて、想像するだけでもヒーヒー言ってしまします。
そしてシャンドゥール峠からの下り坂を進み、夕刻に2日目の中継地マストゥージ村へ到着したのでした。しかし翌日の出発が早く滞在時間もあまりとれなかったこともあり、マストゥージの記憶はほとんどありません。
ということで、さあチトラールの街へ向かいますよ!
※2008年の情報です