日がだいぶ長くなってきなと感じる2月始め。
今年最初の農作業は、夏野菜の芽出しです。
今回は温室育苗する予定のナスとトマト。
毎年やっている作業なのですが、今年は加温方法による発芽率や発芽時間の違いなどを比較してみたくて記録をとりましたのでまとめてみます。
芽出し方法は以下の2つ。
・【方法①】腹巻に仕舞って体温で温める
・【方法②】衣装ケースの簡易温室(昼は日光、夜は湯船で保温)
結果はどちらも発芽しましたが、時間の差は出ましたよ。
タネの用意
今年、芽出しをするのはトマトとナスの種。
トマトは「ワーントマト」と「アロイトマト」。
ナスは「仙台長ナス」と「真黒ナス」という品種。
全て固定種です。
ワーントマト
今年始めて挑戦する「ワーントマト」は、F1品種を分離育成して採取した大粒で甘いミニトマトの固定種。「ワーン」はタイ語で甘いと言う意味ですので、きっと甘いトマトなんでしょう。
アロイトマト
こちらもF1種から分離育成して固定化させた中玉トマト。
元は4種の良いとこどりのF1種である「桃太郎」から数年がかりで固定化させた品種。ワーントマト同様にタイ語の名前が付いているのは、じつは育成者が同じためで、愛知県飛騨高山にあるポテンシャル農業研究所の奥田春男さんと言う方がどちらも育成選別して作った種らしいんです。ありがたく使わせていただきます。コップン カーップ。
仙台長ナス
豊臣秀吉の朝鮮の役の際に伊達藩士が博多から持ち帰ったのがきっかけで、東北地方で古くから育てられている伝統品種。名前の通り細長い形で、柔らかいため、漬物用として親しまれてきたそうです。我が家でも妻のお気に入りで、炒め物としても味は抜群。
真黒ナス
埼玉県草加地方で古くから作られている日本の茄子の原型に近い固定種。
中長型のスーパーでよく目にする形の茄子です。日本で多く流通するF1種の茄子の片親として交配される品種の1つで、煮物、漬物、焼物、汁物、天ぷら、田楽等、幅広い料理に使える万能型お茄子。流通性を気にしていないので、F1種のナスよりも皮が柔らかいのが特徴。そのかわり傷が付きやすので風には要注意。
腹巻 or 衣装ケースで加温
発芽に適した温度は種によって違います。
トマトは10~35℃(適温20~30℃)。
ナスは11〜35℃(適温20~30℃)です。
冬の気温下で自然発芽することはまず無いので、何らかの加温が必要となります。そこで今回試みるのが以下の加温方法。
- 体温(常時)
- 簡易温室(日中)
- 湯船(夜間)
可能ならば自然界のように「日中30℃→夜間20℃」のように、昼夜の温度差を変えてあげると発芽率は上がるみたいですが、今回は特に気にせず20〜30℃の範囲で気温管理をして発芽を待つことにします。
人の体温は36度ほど、腹巻などに入れ間接的に温めても30度くらいにはなると思います。一方の簡易温室は小型の衣装ケースを使用します。日中は太陽に当て、夜間は湯船に浮かべて保温します。
過去に何度か腹巻や簡易温室で冬場の発芽育苗を経験したことがあり、どちらも無事に発芽することは実証済みです。今回はこの二つの方法でどれだけ発芽率が違うのか、また発芽までの期間がどれだけ違うのかを比較してみたいと思いそれぞれ同時平行で経過を見比べてみることにしました。
「腹巻」で加温の方法
それでは、腹巻加温の早速準備を進めます。
用意するもの
- キッチンペーパー
- タネ各種
- 小さいジップロック
作りかた
- 始めにジップロックの大きさに合わせてキッチンペーパーをカットしておきます。だいたい三つ折りにして収まるくらいのサイズ。
- 小さなお皿に水を少量張り、カットしたキッチンペーパーを乗せて湿らせます。
- タネを重ならないよう並べたら、折りたたんで、ジップロックに入れて準備完了。
種が似ていると区別がつかなくなってしまうので、必ず名前は明記しておくこと。何日か使用していると名前が消えてしまったりするので上からセロテープで貼るなりの工夫は必要でした。
後日、キッチンペーパからガーゼに変更しました。
キッチンペーパーだと密着性がありすぎて酸欠になってしまいそうなので、程よく通気性を保てる目の荒いガーゼを使用することにします。
それでは、先ほど準備をしたジップロックを体温で温めて発芽を促します。
使用するのは私が冬場に愛用している「腹巻」。
ポケットが付いているので、そこに先ほどの種入りジップロックを仕舞い込み出勤します。
帰宅後と毎朝、発芽のようすを見るためにジップロックから取り出して開封してチェック。その際に新しい水に浸しなおして、リフレッシュさせます。(ジップロック内も一度水洗い)
ちなみに水は浄水(蛇口に取り付けるタイプ)を使用しています。
それから、発芽には酸素も必要なのでジップロックの封を開けて新しい空気を入れ替えてあげるようにしています。出勤中はお昼休みなどに1回程度を心がけていますが日によっては仕事が忙しくて忘れたりもします…。
「簡易温室」で加温の方法
一方は簡易温室に入れた育苗ポットで発芽させます。
培養土は畑の土をそのまま流用しています。
雑草が生えたりはしますが、植え直す際に土質の変化がないので根張りがスムーズに進むかと思っています。
日中はベランダに出し日光に当てて加温します。
その日の天候によっては上蓋をずらしたりして室内温度の管理を行う必要はありますが、現時点では概ね20〜30℃の範囲をキープ。ちなみに上蓋の閉めっぱなしはNG。ちょっと天気が良いとかなり高温になってしまうので、少しでもいいから隙間を作っておいた方が安心です。
夜間は残り湯に浮かべて保温します。
観察方法と留意点
換気は重要。
高温で種が死滅してしまっては困るので、少し寒くても必ず隙間は開けておきます。
おおっと危ない!35℃オーバー…。
ケースの容量が小さいので気温は急上昇します。密閉して放置すると危険です。
準備完了
これで比較の準備は完了です。
これから「腹巻」と「簡易温室」それぞれの変化を見比べていくことにします。
次回《2.観察結果編》でその後の経過をまとめます。